インフルエンサーを使ったプロモーションやPRは、コロナ禍でも加速度を増しています。その理由は純広告でリーチが難しいターゲット層にもアプローチできるからです。
ブランドのマーケティング担当者が、ユーザーの信頼を獲得しているメンターを頼るのは正解です。とはいえ個人に直接依頼するのは簡単なようで、こじれることもあります。勢いのあるインフルエンサーマーケティングですが、走り出す前に注意が必要です。見落とすと、後々ブランド毀損につながるリスクを負うことも。
インフルエンサーはどうやって見つけるのか、直接依頼する前に知っておきたいことなどを、今回は海外事例を交えて紹介します。
キャンペーンに起用するインフルエンサーを担当者が好みや直観で選ぶ前に、まずPRする商品やサービスが、インフルエンサーとマッチしているかどうか熟考します。ブランドのバリューを高めてくれるか、あるいはサービスに最高のエンゲージメントをもたらしてくれるのか。パートナー選びに対し、十分な調査をかけることをおすすめします。最短で行えるチェック項目があれば、タスクの見落としを防げます。
どうする?キャンペーンにふさわしいインフルエンサー選び
すでにいくつかのインフルエンサーキャンペーンを経験している、あるいは初めてという場合でも、以下の7つの項目をチェックしてみましょう。それからスケジュールを立てても遅くはありません。
1.インフルエンサーのニッチを理解する
インフルエンサーが商材やサービス、イベントにマッチしているのはもちろん、個性や将来性も選ぶポイントになります。例えば、ベビー用品のキャンペーンを計画している場合なら、子育て中、あるいはプレママの段階で、ブランドのプロモーションにプラスの影響を与えてくれる可能性のあるプロフィールを探します。
インフルエンサーは「情報発信者」として、フォロワーから絶大な信頼を集めています。ビジネスパートナーのイメージで、起用してみてください。
2.インフルエンサーのアクティビティ調査は必須
仮に、イングランド南部のチチェスターにあるオーガニックフードのレストランを宣伝するとします。SNS担当者はインフルエンサーキャンペーンのアイデアを思いつきました。パートナーには、ローカル情報に長けたフォロワー数1,800人くらいの地元のインフルエンサーか、それともチチェスターのことは知らないけどフォロワーを5万人以上抱えるコットランドの有名人のどちらを選びますか?
レストランへの誘客という意味で、マイクロインフルエンサーの起用は成功
インフルエンサーマーケティングはトリッキーです。多くの場合、担当者はフォロワーの数や知名度をベースにインフルエンサーを選んでいます。前述の例では、知名度のあるインフルエンサーよりも、1,800人のマイクロインフルエンサーの方が来店数増に貢献し、設定したKPIに到達できました。このようにリーチが狭いインフルエンサーでも、緊密な関係にあるコミュニティで広められた投稿は、数万人のユーザーが何気なくフォローしているプロフィールよりも価値があります。
統計上の数値は重要ですが、数字が大きくても中身のないバニティメトリクス (うぬぼれ指標) は役に立ちません。インフルエンサーの提示する数字は、時として結果をもたらさないプロフィールで構成されることがあります。フォロワー数よりも重要な指標は、エンゲージメント率、ターゲットグループのリーチ、オーディエンスの内訳です。
ヒント:NapoleonCatのアナリティクスは、競合他社のFacebookページ、Instagramビジネスアカウント、YouTubeチャンネル、Twitterアカウントの分析に役立ちます。興味のあるSNSアカウントをNapoleonCatのプロジェクトに追加するだけで、エンゲージメント率や投稿の頻度がわかります。
競合のインスタ投稿データを深掘り
シンプルなダッシュボードを操作して、競合他社のアクティビティをトラッキング。調査結果から、自社のパフォーマンスを向上するためのヒントが見えてきます。NapoleonCatは2週間、無料でお試しできます。
Try NapoleonCat free for 14 days. No credit card required.
3.インフルエンサーのオーディエンスを知る
フォロワーの数に惑わされず、インフルエンサーのオーディエンスがブランドのターゲットグループとマッチしているかどうかを確認してください。
ブランドに関心を示さない属性であれば、キャンペーン効果は期待できません。
そして選考途中のインフルエンサーに、なりすましアカウントや紛らわしいアカウントがないことをチェックします。人気のあるインスタグラマーを騙ったフェイクアカウントがあることは珍しくありません。
キャンペーンが終わったら、インフルエンサーがターゲットグループと相互作用 (インタラクション) したかを振り返ってみましょう。文字通りオーディエンスに「影響をおよぼす」ものと期待してインフルエンサーを起用したにもかかわらず、投稿へのリアクションが薄い場合は【とりあえずフォロー】しているユーザーが多い可能性があります。オーディエンスの関心度の低さは、エンゲージメント率という数字で把握できます。
4.過去のインフルエンサーマーケティングキャンペーンを見返す
キャンペーンにインフルエンサーを起用しようと思ったきっかけは何でしょう?おそらく他社や競合ブランドのインフルエンサーキャンペーンや広告がトリガーになったのかもしれません。そこで過去に成功したキャンペーンをおさらいします。
競合ブランドの成功したコンテンツを手本に、見よう見まねでキャンペーンを実施しても、うまく進むとは限りません。ただし得るものもあります。インタラクティブなSNSだからこそユーザーがブランドに抱く信頼感や、つながりの深さがダイレクトに伝わってきます。さらに競合ブランドとの方向性の違いや、マーケットにおける自ブランドの立ち位置がより明らかになるでしょう。
例:ヴィーガンブランドがインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施するケースを想像してみてください。動物実験している化粧品メーカーのブランドアンバサダーをインフルエンサーに起用するのは問題ありなのでは。
ブランドのスポンサーシップポートフォリオだけでなく、インフルエンサーの過去投稿をチェックする手間も惜しまないようにしてください。公開済みのコンテンツが見つからないときは、インフルエンサーに提供を依頼してみましょう (企業とNDA=秘密保持契約によって制限されていない場合)。キャンペーンにインフルエンサーを起用するときに、マーケティング担当者はパートナーの過去投稿と、現在のポジションについて十分調査する必要があります。そうでないとキャンペーンをローンチしても、時間とお金の浪費で終わってしまいます。
5.広告であふれたプロフィールを避ける
目を付けた候補者が、これまでのチェック項目4つをパスしたとして、5つ目はどうでしょう。先ほどのヴィーガンブランドの例に戻り、インフルエンサーにアサインするかどうかの場面をイメージしてください。その候補者はブランドの価値を理解し、すでに製品を使用しているとします。ただし、Instagramのプロフィールページは、競合ブランドのヴィーガン製品で埋まっています。プロダクションに所属しているタレントであれば、同じ時期に同業他社の広告にキャスティングされることは契約違反にあたります。
広告を避ける時代にあって、ユーザーにブランド認知を促すことは難しいことです。競合ブランドの類似製品を同じインフルエンサーでプロモーションすれば、フォロワーは混乱するかもしれません。企業側もせっかく時間と費用をかけてブランドのメッセージが伝わらなかったら、がっかりです。
6.ゴールと目標を設定する
インフルエンサーマーケティングキャンペーンで、何を達成したいかを決めておきます。目的はブランドの認知だったり、売り上げの向上だったりと、商材によってさまざまだとは思いますが、具体的な数字があるとモチベーションにも変化が生まれます。
例えば、新作のパフュームを期間中に1,000個売る。
シンプルですが、キャンペーンの成果を確認しやすい目標です。
せっかくインフルエンサーを起用したキャンペーンを計画しても、フレームワークを設計していなければ、売上の測定が複雑になってしまいます。
- コンテンツからサイトへ誘導するパラメータを設定するか
- 着地先はランディングページにするか、それとも既存ページか
- コンテンツを見たユーザーから質問が届いたときの対応は
- 別のソリューションとリンクさせて見込み客を獲得するか
上記のような予算を想定した上でプランニングすると、キャンペーンの効果測定とクリエイティブ評価が把握しやすくなります。そして次のキャンペーンの設計にも役立ちます。
7.パートナーとの明確なルールを設定し、コミュニケーションする
インフルエンサーマーケティングは、すべてのキャンペーン要素がうまく調和していれば双方にメリットがあります。インフルエンサーは自然なブランドアンバサダーになり、ブランドはユーザーが生成したコンテンツを利用して認知度を向上できます。オーディエンスはメンターを通じて未知の製品に触れる機会を得ます。
これらを機能させるために、インフルエンサーとブランドの両方がコラボレーションの方法を学ぶ必要があります。
ブランドは、コラボレーションの明確な契約条件を設定する必要があります。
- 必要なコト、モノ。避けるべきコト、モノ
- プロモーションの始まりと終わりと契約期間
- 著作権と二次利用について
- レポート作成の役割
- 経費の精算
- 報酬額
- 支払い期限
当事者間によって上記の確認が済めば、誤解のリスクは減少します。そしてキャンペーンが失敗に終わっても、インフルエンサーには最初に決めた報酬額を支払います。
当事者間によって上記の確認が済めば、誤解のリスクは減少します。そしてキャンペーンが失敗に終わっても、インフルエンサーには最初に決めた報酬額を支払います。
インフルエンサーと交渉する場合、最初の数回のメールあるいはDMの交換だけで、コラボレーションの先行きについてある程度の感触がつかめるでしょう。レスポンスが早いか、遅いか。積極的にアイデアを出してくれるかなど。
まとめ
インフルエンサーマーケティングキャンペーンを成功させるためのチェックポイントを紹介しました。
インフルエンサーマーケティングは、ブランドや商品、サービスに注目を集める手段のひとつです。実際にはSNS担当者自身がパートナーにキャンペーンの概要を説明し、各種設定を行った上でローンチします。キャンペーンの後にはキャンペーンの評価することを忘れないでください。