スマホを手にすると無意識のうちにアイコンをタップ、ついつい見ちゃうインスタが、もっと「スクロールし続けられる」仕様に変わりました。フォロワーの投稿を見た後で、おすすめ投稿が次々表示されていく、それがインスタの進化したサジェスト機能です。
サジェスト機能にピンとこない人は、GoogleやYahooの検索窓をイメージしてみましょう。虫メガネアイコンのついた「検索」入力エリアの下に、インプット途中でもブラウザー側が予測した検索候補を表示してくれる機能です。便利とはいえ、このサジェスト機能を使って、恣意的に誰か、あるいは商品や企業を陥れる「サジェスト汚染」が問題になり、ここ数年はネガティブな面が浮き彫りにされています。
Instagramのサジェストは、ブラウザーのサジェスト以上に「パーソナライズ」されていることが特長です。ユーザーの好みや目的を先回りし、フォローしていないアカウントからの投稿を「おすすめ」してくれます。
インスタのサジェストについて、知っておきたいこと
Instagramで「新しい」コンテンツに出会う場所は、これまでは検索ページでした。ユーザーは自主的にワードを入力して見つけに行くか、それともインスタから提供された「発見」で遭遇、あるいは広告で目に触れる以外に、新しい投稿を見る機会がありませんでした。
2018年にInstagramは、ユーザーの閲覧した投稿のトラッキングおよび、コンテンツの見逃し防止と、アプリの利用時間 (アクティビティ) の管理を目的に「コンテンツは以上です」通知をスタート。同時に、インスタの利用時間の振り返りと、必要ならリマインダーの設定が可能な「アクティビティ」が加わりました。
当時はフィード (※) をスクロールダウンして最後になると、下の画像のように「コンテンツは以上です」というメッセージが表示されていました。
※Instagramのフィード: 正式名称はニュースフィード (NEWS FEED)。ホーム画面、Twitterのタイムラインにあたる場所
2020年夏のアップデートから「コンテンツは以上です」通知に、サジェスト予測をドッキングした機能が、Instagramのアプリに備わっています。
Instagramのサジェストは、どうやって選ばれて表示されるのか
アプリを使う方にとっては、「おすすめ投稿」がどうやって選ばれ、出し分けされているのかが気になります。インスタの従来のアルゴリズムを応用して表示しているのか、それともユーザーの「検索」ページから、投稿コンテンツを流用しているのか?
おすすめに表示されるコンテンツは「フォローしているアカウントの傾向と、ユーザーがいいね!、または保存している投稿に基づいて」選ばれているとのこと。Instagramの製品責任者のジュリアン グートマンが、ウェブメディアTHE VERGEのインタビューにおいて、「おすすめ投稿が履歴に基づく表示であるのに対し、検索で表示するコンテンツは、まったく新しいコンテンツに出会う機会を提供している」と語っています。
インスタの「検索」ページで提供される [発見] コンテンツは、アプリを操作するユーザーの過去のアクションをもとに並べられています。
「検索」に表示されるリールとは?
2020年夏のアップデートでは、検索ページの表示も一新しています。[検索] ページの画面半分以上を占める「リール (Reels)」を使っていますか? リールも2020年夏から実装された機能です。インスタのアプリ上で動画編集が可能な部分はストーリーズと同じ。動画を2倍速、3倍速にしたり、エフェクトをかけたりといった編集が可能です。そしてストーリーズが24時間で消えてしまうのに対し、リールはフィードと、[検索] に表示されます。ユーザーの好みに合わせた動画で、潜在ファンにアプローチできるとあって、多くのマーケターが「リール」に注目。すでに各ブランドで、さまざまなPRが展開されています。
以下はドイツのメルセデスベンツのリール。リールをタップするまで投稿主は表示されませんが、画面を開くと「いいね」やコメントが付けられる他、シェアや保存も可能。個人アカウントで利用するなら、ストーリーズ同様「ミュージックスタンプ」も付けられます (ビジネスアカウントは制限がある)。
「おすすめ投稿」を、わずらわしいと感じたら
提案された投稿が、好みと合わない場合には、投稿の右上隅にある3つのドットをタップして、[興味なし] を選択します。こういったユーザーのアクションは、Instagramアルゴリズムの精度をさらに高め、一人ひとりによりフィットする [おすすめ] コンテンツの出し分けに反映されていきます。
ユーザーはインスタのアプリを使う上で、提案された投稿を非表示にすることや、フィードから完全に無効にすることはできません。ただし、PCのブラウザーからインスタに接続して閲覧するのなら「おすすめ投稿」の非表示は可能です。
おすすめ投稿に広告が表示される
Instagramが提案するおすすめ投稿は、アプリの広告収益を上げるため、ユーザーのフィードにそれぞれの嗜好に合うような「インフィード広告 (コンテンツの間に差し込む広告)」を、配信しています。それはユーザーにタップさせるよう、インスタが仕組んだ戦略ではあっても、他のSNSに比べると宣伝臭が薄く、広告と気付かないユーザーも多く存在します。
Facebookが広告とスポンサーコンテンツの両方を投稿して集客をプッシュするように、Instagramでも同じような広告配信が行われ、インスタに出稿する広告主はこれを大いに利用しています。インターネット広告にネガティブなイメージを抱くユーザーが多い中で、インスタ広告は「広告非表示」の選択肢もあるため、比較的受け入れられているようです。
Instagramのサジェスト検索が不要な場合
Googleサジェストにも言えることですが、予測検索は不要という人がいます。インスタのサジェスト検索を無効にしたいという要望も、少なくありません。
まったくの非表示は無理でも一時的には解放されます。以下を行ってみてください。
- 「プロフィール」ページを開きます。
- 右上隅にある[設定]アイコンをタップします。(画像はiPhoneの場合、Androidでは [設定] は一番下にあります。)
- [セキュリティ] を開き、次の画面で一番下の [検索履歴] をタップ。
- 開いた画面に、検索したアカウントとハッシュタグが表示されている。右上の青字テキスト [すべてクリア] をタップすると、履歴が消去される。
一部のユーザーはインスタの新機能を受け入れていますが、「おすすめ投稿」不要をTwitterに書き込むユーザーも多く、賛否両論があります。かつての「コンテンツは以上です」表示を、アプリを閉じる区切りにしていた人は、アップデートで投稿が次々に表示されてしまい、ついアプリを閉じるタイミングを逃してしまう。あるいはフィードで「自分のフォロワー」だけの投稿を見たいのに、過去投稿を見るには別のアクション [過去の投稿を見る] をタップする手間が生じてしまったなど、さまざまな不満を抱えています。そして今後ますます短尺動画リールの視聴が増えることにより、ユーザーのソーシャルメディアと接する時間は多くなるでしょう。SNSを健全かつ有効利用していく上で、投稿者だけでなく、閲覧者もアクティビティ (利用時間) のチェックなど、何かと自制が必要になってくるはずです。