2020年がスタートすると、それまで対岸の火事に思えた彼の地の疫病は、瞬く間に世界中に拡散、個々の生活を激変させました。先の見通しが立たない中で、多くの人がSNSでニュースや変化の兆しを探しています。
世界各国でさまざまな業種がCOVID-19 (新型コロナウイルス感染症) による大きなダメージを受け、なかでもロックダウン (都市封鎖) 規制のかかった地域の小売り企業は、これまで以上にソーシャルメディアやECを利用するなど、オンラインにシフト。一方、消費者側のソーシャルメディアユーザーは、現状を確認するためにSNSで通知される新着のニュースを心待ちにし、コミュニティとつながるため、頻繁にフィードをアップデートしています。実際にソーシャルメディアの利用は、大幅に増加しているとの報告があります。
Twitterは先の第1四半期決算で、広告収益は思わしくないものの、ロックダウンの影響からアクティブユーザー数が前年比24%増加したことを発表しています。
3月24日、Facebookは、ウイルスの影響を受けた多くの国で、メッセージの総数が50%以上増加したと発表しました。とくにイタリアでは、ユーザーのソーシャルメディアに費やす時間が70%も増加。InstagramとFacebookのライブ動画と、メッセージアプリの利用が大きかったとのこと。
ソーシャルメディアの使用に関する統計:2020年2月~2020年4月まで
前月、前々月とでソーシャルメディアの利用者数は、どれだけ変化があったのか。NapoleonCatの統計ブラウザを使って、COVID-19のホットスポット(米国、イタリア、スペイン)の利用者データを比較してみました。
アメリカ
2020年4月のアメリカのFacebookユーザー数は2億3,380万 (233,800,000) 人と、その数は米国人口の7割にものぼります。
Facebookのアクティブユーザー数は、昨年11月を境に、減少が続いていました。2億人を超える個人情報の流出が引き金となり、平均月間減少率はマイナス2.2%。それがプラスに転じたのは2月以降。25歳から34歳のアクティブユーザー数は約100万人増加しました。利用者の伸びは若年層だけでなく、65歳以上の女性ユーザー数でも顕著です。こちらもロックダウン後の利用者が100万人増え、4月の統計では1,589.8万 (15,898,400) 人と、全米Facebookユーザーの6.8%を占めています。
米国のInstagramユーザー数は、新型コロナ・クライシス以前の数カ月間には、目立った増減はありませんでした。
それが3月にはアクティブユーザーは1億2,420万(124,200,000) 人と、2月に比べプラス3.7%の400万人も増加。4月はさらに110万人の利用者を獲得し、トータル利用者数は1億2,530万人になりました。
内訳をみると、Instagram最大のユーザーグループである25歳から34歳の層が、さらに厚みを増しています。男女のユーザー比率が最も大きいのは35歳から44歳のグループで、この中の女性ユーザーが2月と3月の利用者数増をリードしています。
イタリア
ヨーロッパの中で深刻な被害の出ていたイタリア。3月のアクティブユーザー数は、Facebookで0.9%、Instagramで0.1%増加。とりわけFacebookメッセンジャーで、アクティビティの増加が目立っていました。
パンデミック以前のメッセンジャーの利用は、平均して毎月1.4%ほどの増加率でした。それが3月には、アクティブなメッセンジャーユーザーが、2月に比べて2.5%増え、1,929万 (19,290,000) 人に。4月はさらに182万人の利用者を獲得し、2,111万人に。グラフを見ると、55歳~64歳の層と、65歳以上の利用率が上がっています。
LinkedInでもアクティブユーザー数は増えています。2月と比較し、3月は1.5%増加して1,407万人。ちなみにイタリアのLinkedInユーザーの数は、昨年からほぼ横ばいの状態が続いており、この3月まで大きな変化は見られませんでした。増加の内訳で目立ったのは、25歳~34歳のアクティブユーザーが10万人プラスになったことです。
スペイン
イタリア同様、メッセンジャーユーザーの増加が著しかったスペイン。COVID-19の発生前の数カ月間のユーザー数は微増で、約2%前後の増加率でした。それが一転、2月と3月を比較すると10.5%増加し、ユーザー数は1,206万5,000 (12,065,000) 人に達しました。4月も10%台の伸びは変わらず、ユーザー数は1,253万 (12,530,000) 人に増えています。
ユーザーの内訳もイタリア同様、シニア層で利用者が増え、前月比プラス11万人に。25歳~34歳の数も60万人増加しました。
日本はどうだったのでしょう?
2020年4月の日本のInstagramユーザーは3,164万 (31,640,000) 人で、全人口の25%を占めています。その58.8%は女性ユーザーです。二桁には届きませんでしたが、2月のユーザー数2,910万 (29,210,000) 人から、プラス9%増えました。
マスク着用はグローバルスタンダードか!?
最後に2020年5月10日現在のcovid-19関連で人気のハッシュタグを紹介しましょう。
#mask 10,809,932…1,080万の投稿に付けられている
#homemademask 40,562…4万投稿に付けられている
#coronavirus 21,749,377…2,174万の投稿に付けられている
定番の#instagoodで11億、#like4likeは5億ということを考えると、新型コロナウイルス関連の投稿が、数カ月間で大量にポストされていたことがわかります。そしてマスク着用への認識と理解も激変しています。
「なんでアジア人はそんなにマスクを着けたがるのか」と、欧米人から見ると不思議だった光景が、今はグローバルに受け入れられつつあります。
以下は、ノンステッチ (縫製不要) でオリジナルマスクを簡単に自作できる動画。再生回数は5月10日現在で3万回。手作りマスクの作り方は、Instagramですぐに見つかります。
ソーシャルメディアの統計情報は、NapoleonCatのウェブサイトから無料でご覧いただけます。画面上の地図をクリックあるいはサーチ窓に国名を入力すると、その国のFacebook、Instagram、メッセンジャー、LinkedInのユーザー数が確認できます。